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読売新聞記事 [ハンティング]

既に読まれた方もいらっしゃると思いますが、11月30日の読売新聞全国版の社会面にて紙面の四分の一を割いて狩猟の記事が掲載されていました。私が今シーズンお世話になる予定の北海道、西興部村の取り組みが取り上げられていました。

大変有意義な内容なので、永久保存版として全文を転記しておきます。

 環境ルネサンス 「獣たちの反乱」 頼みの猟師 減るばかり

オホーツク海から内陸へ25km。北海道西興部(にしおこっぺ)村の牧草地に銃声が響いた。中標津町の空港職員、和賀健一さん(58)がエゾジカに駆け寄ると、まだ温かい手足から湯気が立ち上がるのが見えた。体重120kgの見事な角を持った雄の成獣。「これが命の重みか。」プラスチック製のソリに乗せた鹿を仲間と一緒に運びながら思った。

和賀さんが参加したのは、NPO法人「西興部村猟区管理協会」が10月末に開いた「新人ハンターセミナー」。3日間の研修には首都圏の大学生を中心に17人が参加。狩猟を体験し、獲物の解体を見学した。

全国で鹿による食害が猛威をふるっている。北海道は被害地で、全国の被害の7割を占める。道東部を中心に、農地の周辺に張り巡らされた高さ2.5メートルの金網(防鹿柵)は、一時2,800kmに達したが、被害は止まらない。北海道は、1998年に蝦夷鹿保護管理計画を作り、生態調査と捕獲事業に着手したが、ハンターの高齢化が大きな課題となった。道内の狩猟者登録は現在、8,000人を下回り、60代は「中堅」という状況。狩猟技術をいかに維持するか、その解決策としては村は2年前、全域が鳥獣保護法で定められた有料の猟場(猟区)に指定された。セミナーのほかガイド付きの猟も行われている。

猟師不足は全国的に深刻だ。環境省によると、ピーク時の1970年に50万人いたのが、現在20万人に減少。半数近くは60歳以上で、20~30代の若者は1割に満たない。

鹿被害に悩む東京・奥多摩町は今春、足腰が弱り山に登れない猟師のため、4,700万円を投じて簡易モノレールを敷設。保護一辺倒だった環境省も来年度から、猟師の養成に乗り出す。

「猟師離れ」はなぜ進むのか。大日本猟友会専務理事の小熊実さんは「煩雑な手続きと厳しい銃規制」を挙げる。銃を使う猟師になるには狩猟免許のほか、銃刀法による所持許可も必要。毎年の銃の検査に加え、狩猟免許と所持許可は3年ごとに更新する必要がある。

さらに、散弾銃で10年の経験を積まないと、威力にまさるライフル銃の所持が出来ない制度も、猟師不足に拍車をかける。西興部村の場合、ライフルの捕獲成功率は86%だが、散弾銃は55%。今月中旬の鹿猟で散弾銃を使い1頭もとれなかった道内の猟師(57)は「大型で俊敏な動物はライフルでないと仕留めにくい・・・」と悔しがった。

80年代半ばには約70箇所あった全国の猟区はいま、半分以下の約30箇所。小熊さんは「治安対策上、銃の規制緩和は難しい面もある。山野の開発が進み、人間の活動領域が広がったため、狩猟の魅力が失われ、猟師の減少に歯止めはかからない」と嘆く。

90年代から急速に増えた蝦夷鹿も明治初期には乱獲で絶滅しかけ、保護策によって回復した歴史がある。西興部村では一定の捕獲率を維持するため、個体調査に基づき、入猟者を1日2組6人まで、捕獲も1人1頭に制限している。

鈴木正嗣・北大獣医学部助教授(野生動物管理学)は、「アイヌやマタギに代表される日本の伝統的は狩猟は獲物の有効利用や生態系への配慮も含んだ豊かな文化だった。今必要なのは、科学的な調査と知識に裏付けされた野生動物管理システムと、体系的な狩猟教育。優秀な猟師には、管理された猟区で捕獲効率が良い「夜撃ち」を認めるなど、猟銃の規制を柔軟に運用することも、自然の生態系を維持するためには必要なことだ」と指摘している。

日本もかつては、豊かな狩猟文化を持っていたのですねぇ~。猟果ばかりに気をとられるのではなく、自然に親しみ、自然の恵みに対して感謝の気持ちを忘れずにいきたいものです。


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コメント 4

PORFIDIO

興味深い記事ですね。
北海道西興部村その取り組み姿勢に賛同出来ます。
出来れば、来年セミナー受講とガイドハンティングの両方を体験してみたいです!(^^;)/

ただ、「猟師離れ」の原因は、専務理事が言われるような単純なもので無いはず。
そのような認識でいるからこそ、猟師離れとなるような気がしています。。。

いずれにしても、もっともっと狩猟というものを深く極めていきたいですね。
お互い頑張りましょう!(^-^)V
by PORFIDIO (2006-12-04 22:11) 

ぽりぽり

PORFIDIOさん>来年、是非ご一緒しましょう! YSC忘年会でお話し出来ることを楽しみにしています。
by ぽりぽり (2006-12-04 22:28) 

めぎ

アイヌの豊かな狩猟文化を壊して町や畑を建設したのは私の祖先たちなんですよね~申し訳ない気分です。
by めぎ (2006-12-05 01:36) 

ぽりぽり

めぎさん>特にアイヌの方の狩猟文化の継承は意義あることですよね。以前、鷹しょう(鷹を手懐けて狩をする人)のドキュメンタリーには感動しました。自分がなんてままごとのような猟をしているのか、恥ずかしい気分になりました。
by ぽりぽり (2006-12-05 17:41) 

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